ママでよかった
齋藤 愛(トラスト・ワンスタッフ)

息子が5才の時の話です。
スーパーで買い物中に「これ買って~!」と床に寝っ転がって暴れて泣いて手が付けられなかったことがあり、これを機にお金の大切さを教えようとお小遣いを始めることにしました。

もちろんまだお金の価値なんてわからない年齢で軽い気持ちで始めたのでお手伝いをした時に1円や5円を渡していたのですが頑張り屋さんなうえに褒められてご褒美がもらえるのが嬉しかった様で、毎日お皿拭きやトイレ掃除を頑張っていました。
そしてその小銭を自分のお財布に入れて「これお手伝いして貯めたの~」と自慢をよくしていました。

そしてある夜、映画を観た帰りになにやらそわそわしている息子。
「ねぇ、今何時?」と時間を気にしていました。
もうすぐ夜の9時と伝えると、息子は走り出してしまいました。
慌てた私が追いかけるとなんと息子は駅の横にある花屋さんに駆け込んだのです。
実はその日は母の日でした。
息子はテレビのCMで「母の日にはカーネーションを贈る」と言うこと、保育園の先生に駅の横にある花屋さんは「9時が閉店時間」と聞いていたそうです。

息子はお小遣いで初めて買うものを私へのプレゼントにしようと考えてくれて計画してくれていたのです。
息子の指示で私は花屋さんの中には入れてもらえず、外でずっと見ていたのですがここでとても後悔してしまいました。
カーネーションの値段は315円、そして私が息子に渡していたお小遣いは1円~5円(しかもほとんどが1円)。
息子はもちろん数はきちんと数えられないので店員さんが一生懸命その小銭を数えてくれていたのですが315円を数えるのにとても時間がかかっていました。
閉店間際なうえ母の日で忙しいお花屋さんに申し訳なかったと今でも思います。

お金が足りるのか息子は不安そうな表情でしたが足りることが分かると安心したのかちょっと大人ぶって腕を組んだり、リボンの結び方などを店員さんに指示を出していました。
そして嬉しそうな、照れくさいような表情でお店から出てくると「ママいつもありがとう」と言って私にカーネーションを渡してくれました。

花屋さんにいた5人の店員さんやまだ残っていたお客さんが私たちに向かって拍手をしてくれ、それに気づいた駅前の通行人の人たちがみんな拍手をしてくれて、私も息子も嬉しくて涙を流してしまいました。
軽い気持ちで始めたお小遣いでしたが大成功だったと思います。
ちなみにその後のお小遣いの使い道ですが、自分の物や無駄なものは一切買わずに私の誕生日とクリスマスのプレゼントに使っていてその為にお手伝いも継続中ですが、プレゼントにはいつもレシートが必ず入っています。

このページの先頭へ